稲村ガ崎のヴィラで露天岩風呂と枯山水庭園の設計施工をさせていただきました。
ヴィラをご利用される方は、主にインバウンドの富裕層のお客様を想定されているとのことで、オーナー様からは「ラグジュアリーヴィラに相応しい露天風呂と日本庭園を作ってほしい」とご要望を頂きました。
施工場所からは富士山と鎌倉の海を一望できます。
まるで富嶽三十六景のような世界観。今回この日本らしい景色を活かし、いかに「日本的な美しさ」を表現できるかが重要だと考えました。
露天風呂と庭園を海の景色にうまく調和させて、高付加価値化された空間になるよう設計させて頂きました。
全貌は、後日施工事例ページにアップさせていただきます。
今回は露天風呂の【岩積み】についてご紹介させていただきます。
雄大な借景と枯山水庭園に調和させるため、大岩を積む仕様を採用しました。
人間の胴体ほどの岩で200〜300㎏。(重たいもので500㎏)そうなると人の手では施工できませんので、基本的にはユニック車を横づけし、ブームで吊って据え付けを行って行きます。
岩を据え付ける作業には多くの人員が必要です。
道路を片道封鎖する警備員、ブームを操作する運転手、石の向きを調整する職人、遠くから指示を出す職人がいてようやく一つの岩が設置されます。
さらにここは江ノ島へと続く観光道路のど真ん中。道路の片道封鎖ができる時間帯も深夜の時間帯のみと限られてしまいます。
コストは、それらの人員費用に加え岩代と産地へ調達に行く手間や運搬費もかかります。
このように岩を扱った作業は、時間と労力とコストがとてもかかる作業になります。
↑夜通しの搬入作業を追え、ひと段落した明け方。
次に搬入する岩のサイズを検討中。
ようやく出来上がったものは、元々そこにあったかのような、自然な仕上がりになりました。
それは、コストや時間に加え、石積み職人の熟練の技術が詰め込まれた結果でもあります。
施工のポイントを掻い摘むと、「いかにバランス良く、アンバランスに積むか」です。
岩はひとつひとつ重量と形が違います。
パズルのようにきれいには積まず、いかに重量バランスを保ちつつ自然的に崩れたように積むかが重要ということです。そうすると岩の自然美を感じられる仕上がりになり荒々しい海の景色とも馴染みます。
「期待以上だ。これだけの物を作ってくれて大満足」とオーナー様からは評価をいただけました。
後日、枯山水庭園のコンセプトも併せてご紹介させていただきます。岩:相木石(⻑野県)
この記事の施工事例はworks No.1220でご覧いただけます。